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守屋行政書士事務所HP

2005年05月02日

契約締結に関する国会質問書

 民主党・無所属倶楽部の泉 房穂衆議院議員の国会質問書に対する政府の回答書が衆議院のウェブサイトに掲載されていましたので、ここで取り上げます。4月12日付の回答です。

質問
高齢者及び障害者の自己決定の支援に関する質問主意書

 施設入所をはじめ、介護サービスの利用は、その利用者にとり人生の大きな決断である。認知症高齢者及び知的障害者の数は全国で二百万人といわれており、こうした方々は、その判断力の衰えから、この大きな人生の決断に支援を必要としている。
 介護保険制度及び障害者支援費制度の基本理念は、ともに「自立支援」と「尊厳の保持」とされている。しかしながら、サービスがこうした理念に基づいて提供されていても、サービスを利用するかどうか決定することへの支援がない。ひとりで判断することのできない高齢者や障害者は、意思決定できずサービスを利用できなかったり、自分の意思に沿わない他者の意見に従うことを余儀なくされたりしており、こうした方々には「自立支援」や「尊厳の保持」が保障されているとはいえない。
 我々日本国民は、憲法第十三条で、「幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」ことを約束した。高齢者及び障害者が自らの人生を自ら決めるという権利、いわゆる「自己決定権」は、こうした「幸福追求に対する国民の権利」の一つであることは明らかである。今国会に提出されている介護保険法等の一部を改正する法律案及び障害者自立支援法案において、こうした高齢者及び障害者の「自己決定権」への支援がどのように図られているか質疑する前提として、現行の契約制度について整理するため、政府に対し以下質問する。

(1)意思無能力者は追認をすることができるか。いわゆる「黙示の追認」についてはどうか。

(2)意思無能力者に係る権利関係について、第三者が無権代理行為を行った場合、意思無能力者がこれを追認することはできるか。いわゆる「黙示の追認」についてはどうか。

(3)意思無能力の知的障害者甲の親族乙が、甲を代理する権限がないにもかかわらず、甲に代わって甲の名義で知的障害者更生施設丙と施設サービス契約を締結した場合に、この甲丙間の契約は民法上有効か。

(4)前問の甲丙間の契約について、当該契約時より現在まで継続して甲が意思無能力の状態であった場合に、甲が当該施設サービスを利用し続けることにより、いわゆる「黙示の追認」をすることができるか。

(5)問(3)の甲丙間の契約は、甲と丙との間の契約としては、成年後見制度等により甲の代理人を選任し、当該代理人が甲丙間の契約を追認した場合にのみ民法上有効となると考えるが、見解如何。

(6)サービス提供者とサービス受給者との間の契約を前提とする介護保険制度及び障害者支援費制度において、この契約が存在しないにもかかわらず提供されたサービスに対しては、保険給付や公費支出を行う法的根拠はないと考えるが、見解如何。

右質問する。


次に政府の回答です。
衆議院議員泉房穂君提出高齢者及び障害者の自己決定の支援に関する質問に対する答弁書

(1)及び(2)について
 意思無能力者は、有効に法律行為を行うことができないと解されるので、意思無能力の状態が継続している間においては、明示の追認であると黙示の追認であるとを問わず、無効な行為の追認(民法(明治二十九年法律第八十九号)第百十九条ただし書)及び無権代理行為の追認(同法第百十三条第一項)をすることができないと考えられる。

(3)について
 お尋ねの事案において、甲を代理する権限がない乙が甲に代わって丙との間で締結した契約は、甲の有効な追認がない限り、甲丙間の契約として有効とはならない。

(4)について
 甲が継続して意思無能力の状態にある場合には、甲は、乙の行為について黙示の追認をすることができないと解される。

(5)について
 甲が継続して意思無能力の状態にある場合には、甲の権限ある代理人が乙の行為について追認したときに限り、甲丙間の契約として有効となると考えられる。

(6)について
 お尋ねの介護保険制度における保険給付の法的根拠については、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)において、居宅介護サービス費、居宅介護サービス計画費若しくは施設介護サービス費又は居宅支援サービス費若しくは居宅支援サービス計画費は、要介護認定又は要支援認定を受けた被保険者が、都道府県知事が指定する者から当該指定に係る事業を行う事業所により行われる居宅サービス若しくは居宅介護支援を受けた場合又は介護保険施設から同法第四十八条第一項に規定する指定施設サービス等を受けた場合に、これらのサービスの種類に応じて市町村が必要と認めるときに限り支給することとされている。
 また、障害者支援費制度における「公費支出」の法的根拠については、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)又は知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)において、居宅生活支援費又は施設訓練等支援費は、支給決定を受けた障害者等が、都道府県知事が指定する者から当該指定に係る居宅支援又は施設支援を受けた場合に、市町村が支給することとされている。


解説します。
@意思無能力者=成年被後見人は、そもそも意思表示できる状態ではないので、施設等に入所したり、介護サービスを受けていてもその行為を法的に認めているわけではない。契約が成立していないままに、サービス等を受給していることになります。
A成年被後見人の契約は、あくまでも契約代理人である成年後見人が契約当事者になった場合にだけ、有効に成立する。
Bサービスの提供事業者と消費者としての受給者間の契約で決まる介護事業や障害者支援事業に対する公費負担は、その契約に基づくサービスが提供された場合に、公の財政負担がなされることになります。

 ということは、契約の当事者が意思表示できないことから、法的には契約成立せず、しかし事実上サービスを受けているから公費負担はされるということになります。現状を政府が追認するということの再確認です。入院・入所契約に関して、そして治療等の同意権・決定権に関しては、成年後見人が契約代理人として権利行使できないのが現行法の規定であり、解釈です。しかし、それでは、先に進まないので、事実上、どうぞやってくださいというのが現状の扱いです。


posted by 守屋行政書士事務所 at 10:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 報告書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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