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守屋行政書士事務所HP

2005年04月30日

契約取消権の行使

 日用品の購入その他日常生活に関する行為を除いて、成年後見人が成年被後見人の行為を取り消すことができる(民法第9条)の規定とは具体的にどのようなことなんでしょうか。取り消すんだから、取り消すって言えばいいわけですが、法律上の規定の説明です。

(1)取消権者
 取消しできる人は誰か。成年後見人だけでなく、被後見人自身も自分の意思表示を取り消しできます(民法第120条1項)。

(2)取消方法
 民法の条文では取り消しするという意思表示を相手側に伝えるだけでOKとなっています(民法第123条)。もめそうな相手の場合には、内容証明郵便を活用することがよろしいかと思われます。

(3)取消の効果
 最初からなかったものとして扱われます(遡及効:民法第121条)。最初から法律効果が生じないということは、契約当事者に原状回復の義務が生じます。元の状態に戻せということです。成年被後見人が金銭を受領していた場合には、相手側に返還しなければなりません。その範囲は、全額ではなく、取り消しした時点で利益を受ける限度(現存利益)で返還すればよいと定めています(民法第121条但し書き)。

 現存利益の範囲とは、例えば、受け取った金額をギャンブル代金に使った場合には、その部分は返済しなくてよいことになり、食費や家賃など、生活上必要なことに使った場合には、その使った部分を返済しなくてはならないということを意味します。受け取った金額を第三者に騙し取られた場合にも現存利益はないと法解釈されています。お金の使い道によって、法的に返済しなくてはならないか、それとも返済しなくても許容されるかの分かれ道になります。

(4)立証責任
 金銭の消費が現存利益に該当するのかしないかを法的に証明する責任、したがってうまく証明できない場合の不利益を被ることになるのが当事者双方のどちらになるかは、現存利益がない(すなわちカネを返さなくてもよい)と主張する側(成年被後見人、後見人)が証明すべきであるというのが大原則です。しかし、そもそも被後見人というのは、精神上の障害により事理弁識能力を欠く常況にある人(民法第7条)ですので、無駄なことに使ったと推定するとして、成年被後見人の法的な責任を回避する説もあります。


posted by 守屋行政書士事務所 at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 用語解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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