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守屋行政書士事務所HP

2005年12月31日

悪質リフォーム業者を逮捕しても被害者救済につながらず

 Yahoo!ニュースを経由して毎日新聞24日付記事から引用。奪われた金額を取り戻すことは非常に困難であることを記しています。被害者救済のための法律が整備されていないためです。

@特定商取引法違反は刑事罰が軽い。
A業務停止処分を受けた業者は、別会社を設立して、同じ人物が同じリフォーム犯罪をしている。
B組織犯罪対策法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)の適用対象は法別表で羅列していますが、特定商取引法は適用対象外になっている。
C業者から犯罪収益を没収しても、没収金は国の一般会計に組み込まれるので、被害者救済に回らない。
D業者に損害賠償請求をしても業者にカネがなく、被害回復されない。

 なお、各省庁がまとめて取り組むきっかけになった、埼玉県富士見市の姉妹には、被害総額の半分が返還されたそうです。
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2005年12月30日

申立人本人が裁判所に行けなかったらどうするか

 後見(保佐・補助)開始申立てをするときに、本人による申立てでも、本人が病気等の理由で家庭裁判所に出かけられないときはどうするか? 家族がいれば、家族の申立てでOKですが、1人暮らしで親戚とも交流なく、本人も親戚に頼むことに抵抗を示している場合にはどうするか?

 後見制度を利用している人は高齢者が多いので、遺産相続とも関連します。よって、これまで接触がなかった親族にも申立人になってもらってもよいのですが、本人が嫌がる場合には、自己決定の尊重ということで、本人申立てでいきましょう。

 申立人には、申し立てた理由を説明する義務があります。本人が家庭裁判所にいけない場合には、使者による申立てか、代理人による申立てになります。使者とは、必要書類を出すだけで、受理だけして、後ほど調査になります。申立て書類を提出した使者にも参考人として事情聴取が行われます。

 代理人とは、家事審判規則第5条で本人出頭主義の例外を定めています。代理人に弁護士以外の者が就任しようとする時には、家庭裁判所の許可が必要になると定めていますが、単に書類を提出して、手続開始を求めるだけの代理人ならば、特に許可は必要とされていないとも参考書等では説明されています。この意味では使者と代理人との区別があいまいになります。各裁判所での窓口運用で相違がありそうな項目ですので、使者(代理人)による申立て書類提出が受理されなかった場合の対処法を覚えておいた方が良さそうです。
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2005年12月29日

NHK『悪質リフォームとの闘い』の感想

 26日に放映した『にっぽんの現場 だまされちゃいかん 悪質リフォームとの闘い』の感想です。

 被害金額が数百万円であることと、提供されたサービス内容を照らし合わせてみると、契約金額に応じて本来やるべきことをしなくてもいいんだと犯罪被害者が思い込むようになってしまったと印象を受けます。

 購入する金額にあわせて、購入するまでに、被害者の生活の中で、何かしらしてきたと考えられます。例えば、物を手にとって見るだけ(百円単位)、サービスを提供する会社の事前調査をしてから購入するかどうかを決定する(数万円以上)など、ビジネス体験から必然的にやらされてきたノウハウはどこに消えたのでしょうか。

 年齢を重ねて、考える機能自体を喪失してきたのかもしれません(脳機能障害)。契約時点での現金預金の総額と契約金額を比較して、数百万円以上の額を購入するためには、どのような行動をしなくては安心できないのかを検討することができなくなってきているのかもしれません。数十年の生活で契約過程のチェックポイントのノウハウを蓄積してきた人も、それを発揮しようとは思わなくなってきたのかもしれません。

 以上は、成年後見制度の視点からの感想です。意識的に支援制度を進めたほうがよいかもしれません。犯罪リフォーム業者側は、カネを騙し取られる側を孤立させ、誰にも相談しないうちに、カネを騙し取る手口だからです。

 もうひとつは、「悪質」以外表現できないのかもしれませんが、犯罪意識が欠如していることです。殺人とか強盗と同じように、犯罪者集団による組織犯罪であり、犯罪による収益により、生活し、子育てをし、駅前の一等地のビルに入居している会社員を装う集団がいることを見逃しているのではないか。犯罪被害者が自分を責めていることはは共通しているのかもしれません。

 情報収集は徹底しましょう。契約を断ることに理由を告げる必要はありません。被害者救済に取り組む弁護士の方々のご苦労には敬意を表します。
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2005年12月28日

東京都で成年後見人育成講座参加者募集中

 東京都ウェブサイトから引用。1月20日(当日消印有効)まで申込受付中です。
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2005年12月27日

特別代理人の行為規制

 てつ様からのお問い合わせの回答です。お待たせいたしました。

質問「遺産分割の際、親権者と未成年者の子供との間で利益相反となりますが、この場合の特別代理人も、遺産分割協議が整えば、その職務は自動的に終了するのでしょうか?それとも何か届けが必要なのでしょうか?」

回答 法令上、特別代理人の選任手続に関しては定めていますが、その職務遂行方法や代理行為完了後の手続に関しては、規定はありません。よって、遺産分割協議が終了すれば、それで特別代理人としての職務は終了し、届出や報告義務はありません。後見人に課せられている事務報告義務はありません。

 ただし、特別代理人としての仕事に対しての報酬を請求する場合には、成年後見監督人の規定が類推適用されます。家庭裁判所に対して、報酬付与申立てをする時には、具体的に何をしたのかを報告して報酬額の根拠資料とします。

 さて、遺産分割協議といっても、相続人間で完全に納得できる結果にまとめることはとても難しいことだと思います。この場合、未成年者にとってよくない協議結果になったときには、未成年者から委任された代理人に対して責任を追及することはできるのでしょうか。

 特別代理人の職務は、選任のときに特に規制されない限りは、代理すべき職務に関しては包括的な権限を持ちます。担当した職務に関して、後見人の有利・不利につながり、その行為が公序良俗に違反するとか、特別代理人に悪意があり、権限の濫用といえる特段の事情がある場合には、特別代理人の行為は無効とする判決もあります(中村均『利益相反の先例・判例と実務 全訂第2版』(金融財政事情研究会 2001年 38ページ)。

 家庭裁判所における特別代理人選任申立ての添付書類には、利益相反に関する書類として、遺産分割協議案などを提出します。審理過程で、未成年者に不利な内容になっていないかなどを検討し、選任審判のときには、例えば、「この協議書の通りやれよ」と指導しているようです。しかし、100%の強制力はありませんので、事後的に民事賠償請求をするとか、刑法の背任罪で告訴するかなどを考える必要が出てきます。
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2005年12月26日

未成年後見の終了

 未成年後見終了原因の説明です。

@未成年被後見人の死亡
A20歳になった
B10代のうちに結婚して、成年者扱いになった(婚姻による成年擬制:民法753条)
C養子縁組・離縁により、養親または実父母の親権に服するようになった
D親権または管理権喪失宣告の取消(民法836条)
E親権または管理権の回復(民法837条)

 また、未成年後見人も成年後見人と同様に家庭裁判所の許可を得て辞任することができます(民法844条)。解任されることもあります。未成年後見人の死亡、欠格事由に該当したときには、別の人物が新たに未成年後見人に選任されます。

 未成年後見が終了した場合には、終了後10日以内に、未成年後見人が被後見人の本籍地の役所に未成年後見終了届をする義務が課されています(戸籍法84条)。また、終了後2ヶ月以内に、後見報告(後見の計算:民法870条)をすることになっています。事務報告をして、財産を元被後見人(被後見人が死亡して未成年後見が終了した場合には、その相続人)に引渡し、貸し借りがあったときにはその返還をして手続完了です。

 後見人としての職務に対して報酬を請求する場合には、家庭裁判所に後見事務報告をして、報酬請求額の根拠資料にします。
 
 管理の計算報告の相手は、成年になった元被後見人(被後見人が死亡して未成年後見が終了した場合には、その相続人)になります。家庭裁判所から未成年後見人が選任された経緯があるときには、家庭裁判所からも報告を求められるはずです。
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2005年12月25日

未成年後見の開始事由、選任方法

 未成年後見が開始される原因は、未成年者に対して親権(身上監護+財産管理)を行う者がいないとき、または親権を行う者が財産管理権を有しないときです(民法838条1号)。

具体的には、次の6つです。
@親権者の死亡。失踪宣告。
A親権者が所在不明など親権を事実上行使できなくなった場合。
B親権または管理権喪失宣告の審判の確定。
C親権または管理権辞任届をした場合。
D親権者が後見開始された場合。
E未成年後見人を指定した遺言が発効した場合。遺言者の死亡。

 親権者が保佐開始された場合には、親権行使能力を否定し、未成年後見開始事由に相当とするのが通説・判例です。

 未成年後見人を選ぶためには、前の親権者が遺言で指定するか(民法839条)、家庭裁判所が選任します(民法840条、841条)。
 
未成年後見人を遺言で指定した場合には、その遺言書の謄本とともに、未成年後見開始届を被後見人の本籍地の市区町村役所にします。届出義務者は未成年後見人です(戸籍法81、83条)。

 家庭裁判所で未成年後見人が選任された場合には、家庭裁判所から未成年被後見人の本籍地と住所地の役所にその旨の通知をします(家事審判規則85条)。また、就任した未成年後見人も被後見人の本籍地の役所に審判書の謄本とともに未成年後見開始届をすることになっています。

 未成年後見は、『精神上の障害により事理弁識能力を欠く常況』の成年後見とは異なりますので、後見登記の対象外です(後見登記等に関する法律1条)。
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2005年12月23日

離婚後、親権者が後見開始審判を受けた場合、子の法定代理人に片親が自動的には就任しない

 『戸籍時報』581号(2005年3月)から引用。戸籍実務の取り扱いの説明です。

 未成年者に対して離婚等の理由で単独で親権を行使している父母の一方が、後見開始の審判を受けた場合には、親権を行う者がないときに該当し、未成年後見が開始するものとすることが戸籍実務上の扱いです。

 この場合、他の一方の親権が復活することはなく、親も含まれる民法第7条に定める者から、家庭裁判所に未成年後見開始の審判を請求し、その審判を得て未成年後見人に選任された者から、後見開始届をすることになります。

 裁判事例では、未成年後見人が選任された後でも、親が親権者として親権者変更の審判がされた事例があります。親権も未成年後見も未成年者を監護、養育、財産管理の保護をするための制度ですので、親がいれば、そちらを重視しようという考えです。
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2005年12月21日

過去の消費者被害の掘り起こしをしています

 成年後見制度の効果的な活用として、消費者被害の事前抑制・拡大防止があります。高齢者や心身に障害を抱える人たちへ不当な契約を締結させて収益を獲得しているいわゆる悪徳商法事業者に対して、迅速に行動し、被害の発生防止や被害の回復を図る作戦です。通常の商取引ではなく、犯罪対策と考えたほうがわかりやすいと思います。

 しかし、犯罪の被害に遭ったとは気づかなかったり、契約終了後から何年も経過していて、いまさら告発してもどうしようもないとあきらめている方々もいらっしゃるかもしれません。実際には法律の規定を総合的に検討すれば、いろいろと対処策は見えてきます

 個人事業を営む方を含めて、社会的には弱者の方々の権利擁護の一環として、過去の消費者被害の掘り起こしをしています。料金的には、電子メールでのやり取りなど、諸費用が発生しない場合には、何回やっても、どこまで回答しても完全に無料となります。お気軽にお問い合わせください
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2005年12月20日

成年被後見人と認定された人物は、成年後見人を通じて債務を負担することが一切できないことが大原則

 てつ様からのお問い合わせの回答です。お待たせいたしました。

質問「『成年被後見人であると法的に認定された人物が、借金の意味を理解して、借主になると意思表示することは、精神鑑定の実務上、ありえない』こととあります。全くもってその通りと思いますが、それはすなわち成年被後見人と認定された人物は、成年後見人を通じて債務を負担することが一切できないということでしょうか?高齢者が相続対策のために、賃貸住宅等を建築し、その資金を金融機関から借りるケースはよくありますが、その借主が、成年後見制度を利用するということはあり得ることだと思います。そしてやはり、成年被後見人は父親、成年後見人はその息子というケースが想定され、後継者である成年後見人の息子の連帯保証を金融機関は求めるものと考えられます。
 こういうケースはあり得ると思いますが、いかがてしょうか?また、このような場合もやはり利益相反にならないと解してよいのでしょうか」

回答
(1)成年被後見人と認定された人物は、成年後見人を通じて債務を負担することが一切できません。

(2)成年被後見人になった後に、賃貸住宅等を建築し、債務を負担することは、利益相反行為に該当するので、家庭裁判所に特別代理人の選任申立てするとともに、成年被後見人の居住用不動産の処分許可の申立てをすることが必要になります。

理由
(1)成年被後見人と認定された人物は、独自では金銭の借入れなどの法律行為ができないと想定されています。遷延性意識障害(いわゆる植物状態)でない限りは、契約書にサインをすることや押印することの動作自体はできるでしょうが、その意味は理解していないと法的に区分されています(制限行為能力者)。

 成年被後見人が莫大な金額がかかる契約の当事者になることは成年後見制度の想定外のことであり、そのような契約書が存在しても、裁判では有効とはならないと考えられます。よって、後見人が代わりにサインをしたとしてもそれは無権代理行為になり、被後見人の能力が復活し、追認しない限り有効にはなりません。

 高齢者などが後見(保佐・補助)開始前に債務者になることは、法律上は通常のことです。その場合でも、後ほど、契約成立までの過程が問われ、契約成立に必要な意思能力が欠如していたために、契約を無効とした事例はよくあることです。

 「成年後見人を通じて債務を負担する」の意味がよくわからないこともありますが、基本的には以上のご説明になります。


(2)賃貸住宅の新築を含めて成年被後見人の財産処分に関しては、あくまでも被後見人の利益になるようにすることが求められます。また、財産の運用は安全第一で投資や投機をすることは求められていません。

 相続税対策というのは、成年被後見人が相続税を支払うのではなく、息子などの相続人が将来支払うことになるだろうと思われる金額を軽減するための作戦でしょうから、その財産処分はあくまでも後見人の利益になることが前提だと思われます。

 というわけで、利益相反行為になりますので、家庭裁判所への特別代理人選任申立てと成年被後見人の居住用不動産の処分許可申立て手続が必要になります。後見開始する前でしたら、父親が債務者で息子が連帯保証人もOKで、その状況をそのまま家庭裁判所へ報告するだけですが、後見開始した後に、成年被後見人の財産や権利義務の変動がある場合には、厳しくチェックすることが人権擁護制度として必要なことです。

 実際にはてつ様が寄せられたような相続税対策で賃貸住宅を建築することはよく行われているようですね。債務者は父親ではなく、成年後見人名義で借金をして、担保が成年被後見人名義の不動産になることはあるようです。この場合には、被後見人がその賃貸住宅に居住したり、地代が被後見人名義の口座に徴収されるなどの被後見人自身に利益がある計画を立てる必要があります。

 その上で、家庭裁判所に特別代理人選任申立てと成年被後見人の居住用不動産の処分許可申立てをして、認められる必要があります。また、推定相続人が複数いれば、相続人間のトラブルも事前に防止するために、計画に関する情報公開と同意書をもらっておいた方がよろしいかと思われます。


 以上が、ご質問への回答になります。ご不明な箇所はまたお問い合わせください。ありがとうございました。
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2005年12月19日

成年被後見人である父が借主兼担保提供者で、成年後見人である息子がその連帯保証人となる場合は、利益相反行為にならない

 てつ様からのお問い合わせの回答です。

質問「成年被後見人である父が借主兼担保提供者で、成年後見人である息子がその連帯保証人となる場合は、利益相反になると思いますがいかがでしょうか?(父が返済の遅延した場合、息子は連帯保証人として債務を弁済せずに、父の担保を処分させてしまう)」

回答 利益相反行為にはならないと考えられます。

理由
 そもそも借金をした者がそれを返済できず、担保権を行使されてしまい、財産を失うことは、法律上、当然のことです。連帯保証人である息子が債務を弁済せずに、父親の資産を失った場合に、息子が得ることは特にありません。後見人である息子が利益を得るわけではありませんので、利益相反行為には該当しません。

 ただし、借金をした時期が後見開始がなされた後か、その近くになると、話は変わってきます。借りたお金の使途に関して、実質的に後見人である息子が利益を得ている場合には、利益相反行為であり、後見人の職務権限濫用であり、後見人の解任事由になります。

 そもそも、成年被後見人であると法的に認定された人物が、借金の意味を理解して、借主になると意思表示することは、精神鑑定の実務上、ありえないことです。この場合、金銭消費貸借契約や抵当権設定契約などに関与した金融機関の責任も追及されると考えられます。


 以上が、ご質問への回答になります。ご不明な箇所はまたお問い合わせください。ありがとうございました。
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2005年12月18日

アルコール性痴呆による補助開始事例

 『名古屋家庭裁判所における成年後見事件の調査事務の実情』(家庭裁判月報54巻10号 2002年10月)から引用。
 
 52歳男性の事例です。
(1)医学的診断と診断所見
 飲酒が続いて仕事を休むようになり、アルコール依存症の診断を受け入院。退院後、通院を続け断酒も継続する。IQは43と低下。

(2)判断能力の判定と判定の根拠
 IQ43と低下しており、判断力が低下。自発性低下が顕著で整容も保てず、怪我や火傷の対応も一人でできない。本人に判断能力がなく、他人の言いなりに契約書に印をついてしまう。保佐開始相当と判断する。

(3)診断した医師に対して家庭裁判所調査官が調査した結果 
 診断した医師に対しては、アルコール性痴呆の内容と判断能力の関係について見解を聴取した。医師によると、アルコール性痴呆という臨床的概念は確立していないが、知的能力や日常生活能力の低下が見られる例があり、本人もこれに当たる。
 
 契約トラブルについては、家族からの情報で、怪我や火傷については本人が適切に対処できないことを診察時に確認している。財産管理には常に援助が必要であり、一人住まいもおぼつかないと思われる。

 医学的診断で保佐開始相当と出たにもかかわらず、補助相当と審判した理由は記載されていません。

 国際疾病分類(ICD−10)によれば、F10 アルコール使用<飲酒>による精神および行動の障害として区分されています。F107「アルコール性認知症」です。
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2005年12月17日

頭部外傷による保佐開始事例

 『名古屋家庭裁判所における成年後見事件の調査事務の実情』(家庭裁判月報54巻10号 2002年10月)から引用。

 57歳男性の事例
(1)医学的診断と診断所見
 交通事故により脳挫傷。外傷による前頭葉の障害。作話(つじつま合わせの発言)、行動の自発的開始の障害、記銘力の低下、病識の欠如。高次脳機能障害。

(2)本人調査の結果
 表面的な意思の疎通姓は良好であり、初対面では障害を見抜けない。表面的な会話は流暢なものの、10分前の記憶がなく、日常生活にも支障を来たしていて、援助なしでは一人暮らしは困難なことが窺われる。

(3)診断した医師に対して家庭裁判所調査官が調査した結果
 脳外科医の医師に、問診での様子、治療及び症状の経過、実施された各種検査とテスト結果を尋ねたところ、少なくとも保佐開始以上の判断能力の低下があると考えられたことから、鑑定を実施することとなった。
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2005年12月15日

頭部外傷による補助開始事例

 『名古屋家庭裁判所における成年後見事件の調査事務の実情』(家庭裁判月報54巻10号 2002年10月)から引用。

 29歳女性の事例です。
(1)医学的診断と診断所見
 交通事故による頭蓋骨骨折、脳挫傷、外傷性脳内出血。中程度の知的低下、注意力障害、抑うつ、感情抑制不良、怒りやすい状態。

(2)本人調査の結果
 本人申立て。弁護士が代理人に就任していたので、代理人を先に面接し、申立ての動機及び本人の状況について情報を得る。
 本人は、人定事項や経歴などはすらすらと答えられ、記憶力と理解力はおおむね確かであった。ただし、交通事故のことになると記憶はあいまいである。

(3)診断した医師に対して家庭裁判所調査官が調査した結果
 判断能力の判定は保佐開始レベルになっているが、本人調査から補助開始レベルとの感触が得られたので、診断書を作成した外科医にその根拠を確認することを目的に医師の調査に臨む。担当医師は、診断書手引を読んでいないという話だったので、医師に対して、診断方法を説明し、補助開始相当に判断能力の判定を変更してもらった。
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2005年12月14日

被後見人の貯金を横領して起訴

 13日付朝日新聞から引用。未成年後見人として就任していた祖母が被後見人である孫の貯金を引き出し、子(孫からみたら叔父)の生活費等に流用していたとして、後見人と子夫妻を業務上横領罪で起訴したという記事です。

 福島家庭裁判所から告発されていた事件です。刑法上では、親子・祖父母らの直系血族間の窃盗は事件として扱わないことが取り扱いですが、今回は福島家裁も被害者であるとして、異例の扱いのようです。

 ちなみに未成年後見人とは、未成年者に対して親権を行使する者(父・母)が死亡した場合や、親権を行使できなくなった場合に、家庭裁判所が選任します。

 成年後見制度は、精神上の障害のために、事理弁識能力に支障が生じた場合に、その人を制限行為能力者と認定して、法的に支援・保護します。未成年者は、「精神上の障害〜」がなくても、年齢が20歳に満たないという理由のために、制限行為能力者に含まれるので、後見人がつくことになります。通常は、親が親権者として養育監護しますが、親がいなくなれば、その代わりに誰かが後見人として活動することになります。
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2005年12月13日

高齢消費者見守りネットワーク連絡協議会 第1回会合 議事要旨

 内閣府ウェブサイトから引用。高齢者の消費者被害防止対策の検討会を発足したようです。
 よくある手口のパターンも掲載しています。
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2005年12月12日

躁うつ病で補助開始審判の事例

 『名古屋家庭裁判所における成年後見事件の調査事務の実情』(家庭裁判月報54巻10号 2002年10月)から引用。

 25歳女性の事例です。
(1)医学的診断と診断所見
 20才の時に離婚し、そのころから気分の不安定さが目立ち、軽躁状態では買い物依存の傾向がある→躁うつ病と診断しています。

(2)判断能力の判定と判定の根拠
 保佐開始相当としています。躁状態においては、現実検討能力がなく、冷静に判断することができないためとしています。

(3)本人調査の結果
 申立ての契機となった浪費は、うつ状態、躁状態の両方の時に行ったものと述べて(商品)購入契約についても記憶していた。運転手をしていた時の収入では購入代金の返済は可能だったが、離職期間中に返済不能となって、サラ金に手を出したという(本人の)認識。

 躁うつ病については、気分変動があること、医師との面接や安定剤の服用で症状が軽減されることを自覚していたが、継続的に治療を受ける必要までは認識していなかった。同意書は誤りなく音読し、内容も理解していた。→補助相当としました。

(4)診断した医師に対して家庭裁判所調査官が調査した結果
 行為制御能力が問題となっていたことから、病状と判断能力の関係について確認することを目的に医師に調査したとあります。
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2005年12月11日

境界性人格障害で補助開始審判の事例

 『名古屋家庭裁判所における成年後見事件の調査事務の実情』(家庭裁判月報54巻10号 2002年10月)から引用。

 41歳女性の事例です。
(1)医学的診断と診断所見
 17歳時、仕事上のストレスで自殺を企図。18歳でパチンコを始め、没入するようになる。多額の借金を抱え、夫などの援助で返済したが、同様のことを繰り返し大量服薬。数回同じことが繰り返されているが、改まらず、気分の変動も激しい。過度の飲酒もみられる。
 以上の状況から、境界性人格障害と診断しています。

(2)判断能力の判定と判定の根拠
 一定額以上(おおよそ1万円単位)の金額が手元にあると、計画的に使用できず、パチンコなどに浪費してしまい、生活するに必要な諸物品が購入できない事態が続いている→補助開始相当と判断しています。

(3)本人調査の結果
 境界性人格障害を精神上の障害とし、パチンコと衝動買いで浪費する行為を止めることを目的とした本人申し立ての事例です。

 質問には的確に答えることができ、言葉の理解力、思考力、記憶力の点では、通常人と変わるところが感じられなかったと書かれています。
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2005年12月09日

裁判所所属医師の活用

 法定後見(保佐・補助)と任意後見監督人選任申立て手続では、医師の診断書が提出書類に含まれています。この診断書の記載内容に不明な箇所がある場合には、医師たる裁判所技官に医学的助言を得て再診断や鑑定の要否を決めているようです(家事審判規則第7条の6「家庭裁判所は、必要があると認めるときは、医師たる裁判所技官に事件の関係人の心身の状況について診断をさせることができる」)。
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2005年12月08日

悪質住宅リフォーム問題対策に成年後見制度

 内閣府ウェブサイトから。11月14日に開催された国民生活審議会消費者政策部会の議事録(PDF)から引用です。
 
 「住宅リフォーム問題、悪質住宅リフォーム問題への対応につきましては、悪質事業者の排除、また高齢者の周りの方々に対する見守りの強化、成年後見制度の活用等、総合的な観点からとりまとめたものを今、推進しているところ」

 総合的な観点から取りまとめたものの資料もあります(PDF)。
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2005年12月07日

浪費者が成年後見制度を活用できないわけではない

 旧準禁治産者と現行の保佐制度との相違に関して、浪費をする人が保護対象から外れたことはよく指摘されることです。しかし、これは半分当たっているような的を外しているような回答です。

 単に飲み歩いたとか、カードで買い過ぎたとか、後で失敗したなと反省することはよくあることかもしれません。しかし、金銭や資産の所有額の大小に関係なく、使わなくては気が済まないような段階になった場合、例えばパチンコ依存症とか買い物依存症と呼ばれるまでになった場合には、単なる性格の問題ではなく、精神障害(病気:例えば人格障害)である可能性があります。行動を制御することは事理弁識能力に含まれますので、自分の行動を抑制できないことは後見(保佐・補助)申立ての理由につながります。

 精神障害までなった場合には、法律上保護する必要がありますので、成年後見制度を活用する機会になります。
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2005年12月04日

介護サービス事業者の指定取消処分

 東京都ウェブサイトから。12月1日付で特定非営利活動法人ひだまりの家(東京都足立区)に対して、指定取消処分をしたという告知です。

 取消理由としては、従事予定のない介護支援専門員の資格証明書をもって指定申請を行い指定を受けたことや実際のサービスよりも過大な請求や架空の請求を行い、また介護保険対象外のサービスについて請求するなど、不正に介護報酬を請求し受領したことを挙げています。
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2005年12月02日

心神喪失の常況と心神耗弱の言い換え

 成年後見制度の立案を担当した小林昭彦・大鷹一郎・大門匡編『一問一答 新しい成年後見制度』(商事法務研究会 2000年)32ページからの引用です。

 旧法の準禁治産者の状態を指す「心神耗弱」は、その表現がわかりにくく否定的な印象を伴うという指摘があったため、これをわかりやすく客観的な表現に改めたのが、「精神上の障害により事理を弁識する能力を著しく欠く」という表現である。

 同じく禁治産者の「心神喪失の常況」もその表現がわかりにくく否定的な印象を伴うという指摘があったため、これをわかりやすく客観的な表現に改めたのが、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況」という表現である。

 言葉を変えただけで、言葉の意味内容は新旧法で変更なしです。
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2005年12月01日

適合性の原則とは

 各種商品・サービスを提供する場合に、事業者側には、顧客の知識、経験、所有財産の程度を超えて、消費者を勧誘してはならないという商取引に対する姿勢のことを適合性の原則といいます。

 各種の消費者法で導入されています。
(1)消費者基本法第5条第1項「事業者は・・・消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にかんがみ、その供給する商品及び役務について、次に掲げる責務を有する」
 第3号「消費者との取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮すること」

(2)金融商品の販売等に関する法律第8条「金融商品販売業者等は、業として行う金融商品の販売等に係る勧誘をしようとするときは、あらかじめ、当該勧誘に関する方針を定めなければならない」
 第2項第1号「勧誘の対象となる者の知識、経験及び財産の状況に照らし配慮すべき事項」

(3)商品取引所法第215条「商品取引員は、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行って委託者の保護に欠け、又は欠けることとなるおそれがないように、商品取引受託業務を営まなければならない」

(4)特定商取引に関する法律施行規則第7条第3号(訪問販売における禁止行為)「顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行うこと」

 
 高齢者や障害を抱える人たちの消費者被害を事後救済する視点として、意思無能力という論理もありますが、それ以外にもこの適合性の原則違反が活用できることになります。

 例えば、毎月数万円程度の年金収入しかない人が返済が困難になるくらいの金額の商品・サービスを購入することは、それを契約したらどのような状態になるかを理解していないことで、意思無能力の証明にもなります。また、事業者側がそのような人を営業して契約の勧誘することは、適合性の原則違反になります。よって、各種商取引規制法に加えて、民法の一般条項からもその商取引の違法性が証明され、契約無効になる可能性が大きくなります。

 この適合性の原則と消費者契約法や特定商取引法における事業者から消費者への説明義務規定が被害救済に活用できます。
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