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守屋行政書士事務所HP

2005年11月29日

「精神上の障害」は「精神障害」とは異なる?

 意思能力の有無に関して、裁判で争うということは、法律上の判断と医学上の診断は異なることを意味します。民法第7条では、後見開始申立ての条件として、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者と定めていますが、これは、医学上の精神障害とは異なります。

 後見、保佐、補助とは、特定の人の行為能力を制限する法律制度ですので、専門家による調査(医師による診断→精神障害に該当するか否か)を材料にして、家事審判官(裁判官)が法的評価(審判)を下すことになります。

 例えば、精神疾患に関して、WHO(世界保健機構)の作成した、ICD-10という分類をしていますが、非常に包括的な区分になっています。
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2005年11月28日

事業者ローンの連帯保証契約が保証人に意思能力がないことを理由に無効と認められた事例

 福岡高裁平成16年7月21日判決です(判例タイムズ1166号 2005年2月)。大手消費者金融会社と連帯保証契約をした知的障害を抱える人を救済した事例です。 
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2005年11月27日

意思能力の欠缺をめぐる裁判例と問題点

 澤井知子さん(札幌法務局訟務部付検事)の判例解説です(判例タイムズ1146号 2004年6月)。

 高齢者や障害者が当事者となる契約に関して、それを無効にする論理の組み立てとして、意思能力がないこと(意思無能力)を主張・立証することが行われています。契約書に署名・押印はしてあるけれども、それをした時には、契約内容を理解する能力が本人にはなかったので、契約は成立せず無効だという論理です。

 論旨を読む限りでは、意思無能力の立証方法としては、契約前後での医学上の診断と生活状態の説明がなされています。

@医学上の診断→認知症、アルツハイマー症、統合失調症、脳機能障害など。
A生活状態→耳が遠く、大声で話さないと人の話を聞き取ることができない。挨拶程度の会話はできるが、込み入った話はできない。労働能力はないなど。

 ただし、@とAの主張を採用するかしないかは、裁判所にかかっているので、当然、採用されないこともあります。認知症だったけれども、契約内容を理解できないまではなく、契約締結に必要な本人の意思能力はあったという考え方です。医学上の診断が必ずしも法律上の判定に結びつくとは限らない事例といえます。

 また、裁判では、@とAの検証だけではなく、高齢者や障害者が締結した契約の合理性も検討しています。高齢者や障害者に不利益な契約内容であれば、その効果を否定する傾向にあります。成年被後見人が日常生活に関する行為だけしか単独でできない意味は、日常生活における商取引だったらサービス内容と対価がそれほど高価なものではないために、不利益なことはさほどないだろうと考えられているからともいえます。

 契約成立後、契約の履行を求められて後見等開始の審判がされたとしても、契約成立後の家庭裁判所の決定ですので、不当な契約そのものを直ちに無効にすることはできません。裁判をするのにも費用と時間がかかり、契約を無効・取消することが100%確実とはいえません。したがって、事前に成年後見制度を活用しておいたほうが、便利になるという事例といえます。
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2005年11月24日

市町村長による後見等開始申立て手続見直し通知

 市町村長による後見等開始申立てに関して、民法第7条で申立て権者になっている4親等以内の親族の有無を確認する手続を2親等以内の親族に緩和するという報道がなされていましたが、7月29日付で厚生労働省から都道府県等自治体に通知が出されていました(家庭裁判月報57巻11号)。

 「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律による老人福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律及び知的障害者福祉法の一部改正について」の一部改正について

 老人福祉法第32条、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第51条の11の2及び知的障害者福祉法第27条の3に基づく市町村長による後見等の開始の審判請求(以下「市町村申立て」という。)に関しては、これまで、「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律による老人福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律及び知的障害者福祉法の一部改正について」において、市町村長は高齢者等の4親等以内の親族の有無を確認した上で市町村申立てを行う、との手続を例示として示してきたところである

 しかしながら、4親等以内の親族の有無確認作業が極めて繁雑であることも要因となって、市町村申立てが十分に活用されていない状況にあった。このため、市町村申立ての手続の例示を下記のとおり見直すこととし、併せて別添1及び別添2を別紙のとおり改めたので、御了知の上、管内市町村に周知を図られたい。

 また、本通知は地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として発出するものである。



1 市町村長申立てに当たっては、市町村長は、あらかじめ2親等以内の親族の有無を確認すること。

2 1の結果、2親等以内の親族がいない場合であっても、3親等または4親等の親族であって審判請求をする者の存在が明らかであるときは、市町村長申立ては行わないことが適当であること。


**2親等以内とは、自分を中心にすれば、祖父母、孫、兄弟姉妹が該当します。また、配偶者の祖父母、兄弟姉妹(姻族)も含まれます。
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2005年11月23日

本人(実際は弁護士が務める代理人による)後見開始申立てに対して、本人に意思能力があることを疑問として、申立てを撤回させた事例

 遺言能力を問われた裁判事例の中から、引用です。東京地裁平成16年7月7日判決(判例タイムズ1185号 299ページ)です。
 
 「○○弁護士は、平成12(2000)年8月17日、東京家庭裁判所に対し、申立人を本人、代理人を同弁護士として、成年後見人選任の申立てをした。しかし、同裁判所から、成年後見人を必要としている当人が申立人となるのは意思能力の点から問題があるのではないかとの指摘を受けたため、同月20日、これを取り下げた」

 後見開始申立てを家庭裁判所にできるのは、配偶者や4親等以内の親族の他にも当の本人が含まれています(民法第7条)。家庭裁判所が申立てをなぜ取り下げさせたかに関してこれ以上の詳細は不明です。
posted by 守屋行政書士事務所 at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 報告書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月22日

任意後見監督人の欠格事由

@未成年者
A家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人、任意後見監督人、任意後見人
B破産者
C本人に対して訴訟をしている(した)者。その配偶者・直系血族(子、親など)
D行方不明の者
(以上、民法第847条の準用、任意後見契約法第7条第4項)

 また、任意後見受任者・任意後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹は任意後見監督人になることができません(任意後見契約法第5条)。
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2005年11月20日

介護サービス苦情相談事例

 東京都国民健康保険団体連合会編『東京都における介護サービスの苦情相談白書』(2005年)の紹介です。市区町村などに寄せられた2000年にスタートした介護保険制度に基づく介護事業サービスに関して、市区町村などに寄せられた苦情とその対応策を集めた書籍です。

 介護サービスといえば、関与する法律もいろいろあり、苦情を寄せられる利用者も制度の中身がよくわからない、サービスを提供する側も説明不足、契約書なし、介護計画のずさんなどの問題を抱えていることが読み取れます。

 利用者=消費者ができる対策としては、記録をきっちりつけること、事業者を管轄している市区町村に情報公開請求してその事業者に対してどのようなトラブルがあるかを事前にリサーチすることなどはすぐに着手できることでしょう。その上で、契約書の文言をきっちりチェックし、介護中の事故発生での事業者の責任追及の論理などを勉強しておくことが必要かと思われます。

 介護事業者は、サービス勧誘時点での十分な説明、個々のサービス提供内容の記録、利用者の心身の状況を把握し、介護計画の変更を常に検討していくこと、事故は必ず発生することを念頭に、迅速に事故対応ができるようにしておくことなどが求められています。
posted by 守屋行政書士事務所 at 12:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 報告書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月15日

わかりやすい任意後見契約書を作っています

 任意後見契約書、任意代理契約書では、一般的には、甲・乙とか、難しい法律用語が使われています。しかし、お客様指向としては、同じ内容でもよりわかりやすい表現をした方がサービス内容の誤解が生じる可能性が少なく、相互理解には役立つものと思われます。したがって、守屋行政書士事務所では、より読みやすく、わかりやすい契約書を作ることを心掛けています。
 
 専門用語を使った方が抽象的に説明できるので便利なことは便利なんですけど、使う側は読みにくく、活用に抵抗があり、よろしくないことが多いかもしれません。例えば、である調から、ですます調にするとか、漢字→ひらがなにするだけで、だいぶ印象は変わります。
posted by 守屋行政書士事務所 at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 事務所紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月13日

任意後見監督人選任申立て以後の裁判所の調査事項

 任意後見契約を開始するために、任意後見監督人選任申立てをした後に、家庭裁判所でやることです。
@職権での事実調査・証拠調べ(特別家事審判規則第1条、家事審判規則第7条)
A社会福祉機関との連絡(家事審判規則第7条の5)
B関係者を医師が診断すること(家事審判規則第7条の6)
C本人の精神の状況に関する医師の診断の結果その他適当な者の意見の聴取(特別家事審判規則第3条の2)
D本人の陳述、任意後見監督人となるべき者の意見聴取(特別家事審判規則第3条の3第1項)
E任意後見受任者意見聴取(特別家事審判規則第3条の3第2項)
F任意後見監督人選任時の考慮事項(任意後見契約法第7条第4項、民法第843条第4項)

 任意後見監督人選任時の考慮事項で規定されているのは、次の項目です。
@本人の心身の状態
A本人の生活・財産の状況
B任意後見監督人になる者の職業、経歴
C本人と任意後見監督人との利害関係の有無
D本人の意見
Eその他一切の事情
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2005年11月12日

任意後見監督人に適用される民法の規定

 任意後見契約に関する法律第7条第4項の規定です。

@事務処理の善管注意義務(民法第644条)。
A委任終了時の緊急処分義務(民法第654条)。委任契約が終了しても必要なことがあればやり続けなければなりません。
B事務終了する場合の相手側への通知義務(民法第655条)。
C任意後見監督人選任する場合の考慮事項(民法第843条第4項)
D任意後見監督人の辞任理由(民法第844条)。
E任意後見監督人の解任理由(民法第846条)。
F任意後見監督人の欠格理由(民法第847条)。
G複数の任意後見監督人措置(民法第859条の2)。
H任意後見監督人の事務費用を被後見人の財産から支出すること(民法第861条第2項)。
I任意後見監督人の報酬支払(民法第862条)。
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2005年11月11日

任意後見監督人の職務

 任意後見契約に関する法律第7条の規定です。
 
@任意後見人の事務監督
A任意後見人の事務の家庭裁判所への定期的報告
B急迫な事情がある場合の任意後見人の代理権の範囲内での処分行為
C利益相反行為がある場合に、本人を代表すること
D任意後見人の事務と本人の財産の調査
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2005年11月10日

高齢者虐待防止法公布

 官報ウェブサイトに9日付で掲載されています。「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成17年11月9日法律第124号)」。2006年4月1日から施行されます。

(1)高齢者→65歳以上の者
(2)養護者→高齢者を現に養護する者であり、養介護施設従事者等以外のもの
(3)高齢者虐待→養護者による虐待と養介護施設従事者等による虐待
(4)高齢者の財産を不当に処分すること高齢者から不当に財産上の利益を得ることは虐待に含まれています。高齢者の行為も含まれます(以上、第2条定義)。

(5)市町村への通報義務(第7条)→養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、市当村に虐待発生を通報しなければならない。

(6)地域包括支援センター職員の立ち入り調査(第11条)。

(7)市町村から警察への援助要請義務(第12条)。

(8)高齢者虐待防止担当市町村窓口の周知義務(第18条)。

(9)養介護施設設置者・養介護事業者による高齢者虐待防止措置(第20条)。

(10)養介護施設従事者による市町村への通報義務(第21条)。

(11)市町村における高齢者の財産上の不当取引および消費者被害防止措置(第27条第1項)。

(12)(11)の場合の老人福祉法第32条による後見(保佐・補助)開始申立て(第27条第2項)。

(13)国・地方公共団体に対する成年後見制度の利用促進義務(第28条)。

(14)高齢者以外の者で、精神上または身体上の理由で養護を必要とするものに対する虐待防止措置の検討→これからやりましょうということ(附則第2条)
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2005年11月09日

意思能力欠如を証明する手段としての情報公開請求

 消費者被害救済の手段として、契約当時、成年後見制度を利用していない場合には、被害者が契約を締結する意思がなかったことを証明する必要があります。これはかなり難しいといわれているのが、証明手段として市区村長への情報公開請求が活用できるという話です。

 認知症であるにもかかわらず、株取引を重ね損失を被った原告が証券会社に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った事例です。結論として、原告には株取引をする意思能力がなく、証券会社社員が勝手に売買をして損失を発生させたと認定しています。

 取引をする時点で意思能力がなかったことの証拠を収集する手段として、原告の法定代理人である成年後見人(損害発生の後に後見開始)が原告の自己情報開示請求を自治体にしました。

 請求したのは次の文書です。
@認知症の相談予約表
A認知症の相談記録表
B要援護高齢者訪問記録表
Cヘルパーの週間訪問予定表

 介護福祉士の証言を補完する証拠になり、原告勝訴につなげることができたそうです(以上、大阪弁護士会情報問題対策委員会編『実例でみる公文書の訴訟活用術』大阪弁護士協同組合 2005年 117ページから引用)。
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2005年11月08日

印鑑登録証明書の返還請求

 公正証書などを作る時には、公証役場から身分確認証明書として、あるいは代理人への授権意思の表示として印鑑登録証明書が要求されます。通常は、公証役場にそのまま渡しておしまいですが、コピーを公証役場に提出して、原本は返還請求することも可能という話です(日本公証人連合会機関紙『公証』2004年10月 249ページ)。

 ただし、公証役場に債務者が現れずに、債権者が金銭の貸し借りの公正証書などの作成を求めた場合には、債権者が債務者の印鑑登録証明書を悪用することも考えられるので、この場合には、印鑑登録証明書の返還をすることに関して、債務者の意思確認をしろとも記載されています。
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2005年11月02日

任意後見契約公正証書作成時提出の住民票の写しの記載範囲

 任意後見契約や事務委任契約を公正証書にする場合に、公証役場に提出する住民票の写しは世帯全員が表記されている必要はなく、委任者・受任者個人の表示だけでOKです。

 任意後見監督人選任申立て法定後見(保佐・補助)開始申立てで裁判所に提出する場合の住民票の写しは、本人・申立人や後見人候補者等が属する世帯全員の表記がなされていることが必要になることが裁判所での取り扱いになっています。
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2005年11月01日

公証役場費用

 任意後見契約や任意後見契約発効前の事務委任契約を作成する場合の公証役場費用一覧です。

(1)事務委任契約の手数料
@契約で月額委任事務手数料を定めている場合
 月額の委任事務報酬額の10年分の金額を2倍にした額を公証人手数料令で定めた手数料一覧表で参照する。例えば、月額報酬が10万円の場合、年額で120万円。10年で1200万円ですので、基準額は2400万円になります。これを手数料表で見ると、法律行為の目的の価額が3000万円までに該当しますので、公証役場の手数料は2万3000円になります。

A契約で月額事務手数料を定めていない場合
 公証役場の手数料は、1契約1万1000円になります。

(2)任意後見契約作成の手数料
 契約の中で、月額の報酬額が明記されていても、契約の性質上、目的価額の算定不能と考えられており、1万1000円が公証役場の手数料になります。

(3)出張代金
 契約当事者が入院等しており、公証役場に出向くことができない場合には、出張料金として(1)、(2)で算出された金額の1.5倍が基本手数料額になります。

(4)任意後見契約の登記印紙代金
 4000円

(5)任意後見契約の登記嘱託手数料
 1400円

(6)公正証書のコピー代金 
 数百〜2000円前後

(7)公証人の日当
 4時間までが1万円。それ以上は2万円。

(8)交通費実費

(9)公正証書作成のために必要な住民票・戸籍謄本その他の証明書入手費用(各市区町村で事前に調達)
posted by 守屋行政書士事務所 at 11:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 制度解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする